神社の裏手は切り立った崖になっており、
奥宮へと続く石段が、ゆっくりと登れるように整えられていました。
ある日、かくれんぼに夢中になった私は、
調子に乗って石段の上まで登り、
誰にも見つからないよう大きな岩の陰に身を潜めました。
その瞬間、
どこか懐かしく、それでいて言葉にできない奇妙な感覚に包まれたのです。
気になってさらに上へ進み、
上からその岩を見下ろしたとき、
「私はこの岩を知っている」
という確信が胸に湧き上がりました。
私は急いで祖父(宮司)を探し、尋ねました。
すると祖父は、
「お前が生まれると分かったとき、危ないからとこの岩を移動させ、固定した」
と教えてくれたのです。
その言葉を聞いた瞬間、
忘れていた記憶が、静かに蘇りました。
私は生まれる前、
誰かに抱かれながら、この家と、この岩を、
空の上から眺めていたのです。
「ここが、今度生まれる場所だよ」
あのとき、
私を案内してくださったのは、
いったいどなただったのでしょうか。
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